Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
かすかな声
スミ子ちゃんは、こしかけたひざの上にひじを立てて、ほおづえをつき、じっと考えにしずみました。
その時、部屋のすみの床に、なにか、チラッと動いたものがあります。
「オヤッ。」と思って、よく見ると、それは一ぴきのねずみでした。
人がいてもへいきで、チョロチョロと、こちらへ歩いてきます。そのあとから、また一ぴき、そして、また一ぴき、そこの小さな穴から、四ひきのねずみが、はいだしてきました。
それを見ると、スミ子ちゃんは、思わず長いすの上にとびあがり、「キャアッ!」と、ひめいをあげないではいられませんでした。
かすかな声
こちらはヨシ子ちゃんです。西洋館に帰りましたが、いまわかれたスミ子ちゃんのことが、心配でしかたがないものですから、大いそぎで、時計塔の大時計の下の部屋までのぼっていって、そこの小さな窓から、原っぱのほうをながめました。
原っぱのてまえに、まばらな林があり、その林の中をスミ子ちゃんが歩いていくのが見えます。百メートルもへだたっているので、スミ子ちゃんは、お人形のように小さく見えているのです。
ヨシ子ちゃんは塔の部屋の窓にもたれて、じっとスミ子ちゃんのうしろすがたをながめていましたが、ふと気がつくと、林の中にまっ赤なものがあらわれて、スミ子ちゃんに近づいてくるではありませんか。