Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
「こんつら小僧め」
饅頭を蒸かしていた泥竈の下から、おやじが、火のついている薪を一本抛りつけると、それは城太郎にはあたらないで、軒下につないであった老馬の脚にぶつかった。
馬の子と生れてからこの年になるまで、毎日、人間の生活の手つだいに、関の峠を俵だの味噌だのを背負って通いながら、不平もなく、睫毛に白髪を生やしかけているその年より馬は、久しぶりで驚いたようにいなないて、背で軒を打つほど暴れ出した。
「この野郎」
馬を叱るのか、城太郎を叱ったのか分らない。おやじは飛び出して来て、
「どうッ、どうッ」
手綱を解いて、家の横にある樹へ持って行こうとすると、
「おじさん、貸しとくれよ」
「いかねえってに」
「いいじゃないか」
「馬子がいねえだよ」
その時、お通も側へ来ていて、馬子がいなければ、駄ちんは先に払い、馬は水口からこっちへ帰る旅人か馬子に託してもよいからと頼むと、おやじはお通の物腰に信用を改めて、それなら水口の宿場まででも、草津まででもかまわないから、馬は、ついでのある土地の者に頼んでくれといって、手綱を彼女の手に渡した。
城太郎は舌うちして、
「ばかにしてやがら、お通さんが、きれいなもんだから」