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Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

四

川を横に、真っ直に流紋を切って来る船の剣舳であった。不動の身を取って、そこに突っ立っている前髪の美少年の姿が、息を撓めて岸で待ちかまえている七名の者の眸へ、ぐうっと迫るに従って、いっぱいな大きさに映った――と、思う途端にである。

ざ、ざ、ざっ、船は枯れ蘆の泥へ舳を突ッこんで、自分たちの胸へどんと来たように、七名の踵が無意識にズズッと後へ退った。それと共に、船の舳から丸っこい動物の影が、四、五間ほども幅のある船と岸との間の枯れ蘆の沼をぽーんと跳んで、七名のうちの誰か一人の首っ玉へ躍りかかったのである。

「ひゃっッ」

一人が叫ぶと、七名の手から七本の白光が、鞘を脱して、空へ噴いた。

「猿だっ」

と気がついたのは、すでに空を一撃してからで、それを当の敵である前髪の飛躍と錯覚してあわてたのは、彼ら自身も不覚を認めたらしく、

「あわてるな!」

と、お互いを戒め合った。

関り合いになるまいと、船の一隅へかたまって縮み上がっていた乗合客は、彼らの狼狽ぶりに、硬ばっていた神経のどこかを擽ぐられたが、誰もくすりとも声を出さなかった。

ただ、あれっ――といった者がある。