Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「おやじ、勘定」

金入れから金を出して、そこを起ちかけると、赤壁八十馬はあわてて、

「今の話は?」

と、一緒に立った。

「ぜひ、ご尽力をねがいたいが、この路傍では、十分な話もできぬ。どこか座敷のあるところへでも行って」

「ああそうか」

と、八十馬は満足そうにうなずいて、自分の飲んだ代まで、又八が払っているのを、当り前のような顔して眺めていた。

六

怪しげな白粉の裏町である。又八としては、もっと高等な酒楼へ案内するつもりだったが、赤壁八十馬が、

「そんなところへ揚がって、つまらぬ金を費うよりは、もっとおもしろい土地がある」

といって、頻りに裏町遊びを謳歌するので、ともかく引っ張られて来てみると、まんざら又八の肌に合わない情調ではない。

比丘尼横丁というのだそうである。大袈裟にいえば長屋千軒がみな売笑婦の家で、一夜に百石の油を燈心にともすともいえるほどな繁昌さである。

すぐ近くに、汐のさす黒い堀が通っているので、出格子だの、紅燈の下だのには、よく見ると、船虫や河蟹がぞろぞろ這っていて、それが生命取りのさそりという妖虫のようにうすきみ悪いが、無数の白粉の女の中には眉目美いのも稀にあって、中には、もう四十にちかい容貌に、鉄漿を黒々つけ、比丘尼頭巾にくるまって、夜寒を喞ち顔でいるなど、なかなかもののあわれも蕩児の心をそそる