Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

四

武蔵を墓場へ抱きこんで行こうということは、生きている今の最大な望みとなった。

「もう、改めて、何もいうことはないぞえ。尋常に、首渡すか、婆が一念の刃を、受けてみるか、武蔵ッ、支度しやいっ」

婆は、そういって、手に唾するのか、左手の指を唇へちょっと当て、短い脇差の柄へその手をかけてつめ寄った。

四

龍車にむかう蟷螂の斧ということばがある。お杉隠居のように痩せこけているかまきりという秋の虫が、鎌に似た細い脛をカチャカチャ鳴らして、人間へ斬ってかかる態を嘲っていうことばなのである。

お杉の眼つきは、そのかまきりの血相に似ていた。いや、皮膚の色、姿までが、そっくりだった。

ぬっと突き立って、婆のつめ寄る足もとを、児戯のように見ている武蔵の肩や胸は、さながらそれを嘲う鉄の龍車といっていい。

おかしさを感じてくるところであるが、しかし武蔵は、笑えなかった。

ふと、愍れになったのである。かえって、この敵に、労りたいようないい知れぬ同情を持たせられて、

「おばば、おばば、まあ待ちなさい」

かろく隠居の肱を抑えた。

「な、なんじゃと」

お杉は、持った刀の柄を、唇の外へ出ている前歯とともに、わなわなさせて、