Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
そう年を老っているほどでもないのに、ひどくよぼよぼした足元だった。
ぷいと出て行ったきり、なかなか戻って来ないのだ。少し精神に異常があるのだろうと、又八は不気味に思う半面にあわれな気もした。それはいいが、物騒なのは、炉に残っている火であった。ぱちぱちと夜風がそれを煽っている。燃え折れた柴の火は、床を焦がしているではないか。
「あぶねえ、あぶねえ」
又八はそこへ行って、土瓶の水をじゅっとかけた。これが野中の破れ邸だからいいようなものの飛鳥朝や鎌倉時代の二度と地上に建てることのできない寺院などであったらどうだろうと考えて、
「あんなのがいるから、奈良や高野にも火事があるんだ」
と彼は、虚無僧の去ったあとに自分が坐って、がらにもない公徳心を呼び起していた。
家産や妻子もない代りに、社会への公徳心も絶無な浮浪者には、火が怖いものという観念も全くないらしい。だから彼らは、金堂の壁画の中ですら平然と火を燃やす。世の中に無用に生きているに過ぎない一個の空骸を暖めるために火を燃やす。
「だが……浮浪人だけが悪いともいえねえな」
又八は自分も浮浪人であることを思って考えた。