Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
お午には汽車の中でまずいサンドウイッチを少しばかり食べただけで、それでこの山の中まで登って来たのですから、随分お腹が空いているので、わたくしはあとで考えるとほんとうに極まりが悪いほどにたくさんいただきました。しかもそのいろいろのお料理のうちで、フライのお魚がかの山女であるということを知った時に、わたくしはなんだか箸をつける気になれませんでした。それはなぜであるか、自分にもよく判りませんでしたが、やはりさっきの山猿のような女の児のことがなんだか気になっているらしいのでした。
「このお魚はさっきの川で捕れるのでございますか。」と、わたくしは三津子さんに訊きました。
「はあ。あすこらには余りたくさんいませんけれど、しもの方へ行くとずいぶん捕れます。」
「やはりここらまで売りに来るのですか。」
「売りには来ませんが……。」と、関井さんは横眼で奥さんの顔をちらりと視ました。
「うちのじいやが村まで降りて買って来るのです。なに、ここらでは非常に廉いものですよ。」
関井さんの笑い顔の寂しいのがわたくしの眼につきました。関井さんばかりでなく、三津子さんの顔にも暗い影がさしたように思われました。