Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
二
女は答えなかった。あたまの上の草むらは又もやざわざわと乱れてそよいだ。
「もし、もし、あなたはどうしてこんな所にいるんですか。」
女が生きていることは、そのからだの温か味や息づかいでも知られたが、かの女は父の問いに対してなんにも答えないのである。父はつづけて声をかけてみたが、女は息を殺して沈黙を守っているらしかった。
なにしろ暗くてはどうにもならない。ここから家内の者を呼んでも、よく寝入っている女どもの耳に届きそうもないので、父はともかくもその穴を這い出して家からあかりを持って来ようと思った。探ってみると、穴の間口はさほどに広くもないが、深さは一間半ほどに達しているらしく、しかも殆んど切っ立てのように掘られてあるので、それから這いあがることは頗る困難であったが、父は泥だらけになってまず無事に這い出した。そのときに草履を片足落としたが、それを拾うわけにもいかないので、父は片足に土を踏んで元の縁先きまで引っ返して来た。
二
父に呼び起こされて、母や女中たちも出て来た。
「早く蝋燭をつけてこい。」
裸蝋燭に火をつけて女中が持って来たのを、心のせくままに父はすぐに持ち出したが、その火は途中で夜風に奪われてしまった。