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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた、どうしたんです。心持でも悪いんですか。」

女は返事もしないですすり泣きをしていた。

「え、どうしたんです。訳をお話しなさい。あなたは一体どうして一人でここへ来ているんです。」と、深田君は無遠慮に切り込んで訊いた。「だしぬけにこんなことを言っちゃあ失礼ですけれども、一応その訳をうかがった上で、またなんとか御相談にも乗ろうじゃありませんか。あなたは一体なにを泣いているんです。」

女は容易にすすり泣きを止めないのを、いろいろになだめてすかして詮議すると、女は上州前橋の好子という若い芸妓であった。土地の糸商の上原という客に連れられて、きのうの夕方東京に着いて、ゆうべは上野近所の宿屋に泊まって、きょうは浅草から向島の方面を見物して、午後三時頃にこの料理店にはいった。風呂をすませて、夕飯を食って、今夜はここに泊まるはずであったが、上原はちょっとそこまで行ってくるといって、好子を残して出たままで今に帰って来ないのをみると、自分はきっと置き去りにされたに相違ない。ここの家の勘定もまだ払っていない。自分は旅費も持っていない。どうしていいかと途方に暮れて、いっそこの川へ身でも投げてしまおうかと、さっきから庭に出て泣いていたのであると判った。