Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
「で、なにか紛失品はなかったんですか。」
「それも一応取り調べたんですが、別に紛失したらしい物品もないようです。あの二人は小さい信玄袋のほかにはなんにも持っていないんですから。」と、男は説明した。「いや、あなたのお話でもう大抵判りました。ついては幾度もお気の毒ですが、あの座敷の方へもう一度行ってくれませんか。」
重々迷惑だとは思ったが、深田君はそのいうがままに再びもとの座敷へ引っ返して来ると、好子はやはりおとなしく坐っていた。なにを訊いても固く唇を結んでいるので、警部も持て余しているらしかった。刑事巡査らしい男は深田君を案内して、好子の眼の前へ連れ出した。
「おい。いつまで世話を焼かせるんだ。」と、彼はさとすように好子に言い聞かせた。「おまえはこの人を知っているだろう。お前はゆうべこの人の見ている前で、上原という男にむしり付いたというじゃないか。」
「人を置き去りにしようとしたからです。」と、好子はほろほろと涙を流した。
「それが嵩じて、ここでも上原に武者ぶり付いたんだろう。もとより殺す気じゃなかったんだろうが、夢中で絞め付けるはずみに相手の息を止めてしまったんだろう。