Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
こういう事情がわかってみると、溝口の家でも彼女を逐い出すに忍びなくなった。溝口にはお道という細君もあり、お蝶という娘もある。ことにお蝶はお筆と一つちがいの十六であるので、おなじ年ごろの子を持つ溝口夫婦の思いやりも深かった。お蝶もひどくお筆の身の上に同情した。そこで、ゆく末は知らず、差しあたりはまずここの家におちついたら好かろうということになって、親類でもなく奉公人でもなく、一種の掛り人としてお筆は溝口家に身を寄せることになったのである。何といっても士族のむすめであるから、行儀も好い、読み書きや針仕事も出来る。その上に容貌も好い。こういう身の上であるから、当人も努めて遠慮勝ちにしているのであろうが、人間も素直でおとなしい。これでは誰にも嫌われ憎まれよう筈はないので、お筆は溝口一家の人々からも可愛がられた。とりわけてお蝶は彼女と姉妹のように親しんでいた。
あまりに口のよくない抱え車夫の女房もお筆をほめていた。お銀は一番最初に彼女を見つけて声をかけたのが何かの因縁であるようにも思われて、ゆくゆくはあの娘をわが子の嫁になどとも内々かんがえていたのと、もう一つには不運のむすめに同情する女ごころで、ときどきに半襟や襦袢の袖などを贈ることもあった。