Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
せめてハイカラに花環のようなものでも贈ることにしましょうよ。ここらは田舎ですから、どうで東京のような器用なものは出来ませんけれど、唯ほんの景気づけに……。いずれ後程おとどけ申します。これはほんの皆さんのお茶受けです。」
彼女は手土産の菓子折を置いて機嫌よく帰ったので、そばにいる者共はほっとした。昔馴染みはやはり頼もしいと富子も喜んでいると、午後になって堀江屋から大きい見事な花環をとどけて来た。なるほど東京とは少し拵え方が違っているが、百合や菖蒲の季節物が大きい花を白に黄に紫に美しくいろどっていた。
「地方でなければこんな花環は見られませんね。」と、富寿らも感心して眺めていた。
「ほんとうに綺麗だわね。ここらじゃあそこらに咲いているのを直ぐに取って来るんだから。」と、富子も花の匂いをかいだりしていた。
その花環は芝居小屋の木戸前にかざられて、さらに一段の景気を添えた。五月の長い日も暮れかかって、一座の者も宿屋の風呂にはいって今夜のお化粧に取りかかっていると、富子は急に顔や手さきがむずがゆいと言い出した。それでもさのみ気にも留めないで、自体が美しい顔を更に美しくつくって、いよいよその晩の初日をあけると、約束通りにお春は家の女中たちや出入りの者や土地の芸妓たちを誘って来て、座敷いっぱいに陣取っていた。