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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

状袋には単に向田とばかりで、その住所番地は書いてなかったが、消印が東京であることだけは確かに判った。佐山君はその郵便物を支店長の部屋へ持って行くと、彼は待ちかねたようにそれを受け取った。

「向田大尉殿は東京へ行ったのですか。」と、佐山君は訊いた。

「そうだ。」と、支店長は気の毒そうに言った。「今だから言うが、あの人はやめたんだよ。」

「なぜです。」

「悪い弟を持ったんでね。」

支店長はいよいよ気の毒そうな顔をしていたが、その以上の説明はなんにも与えてくれなかった。向田大尉――あの勤勉な向田大尉は、軍国多事の際に職をやめたのである。佐山君もなんだか暗い心持になって、黙って支店長の前を退いた。

「お話はまずこれぎりです。」と、星崎さんは言った。「佐山君もその以上のことは実際なんにも知らないそうです。しかし支店長のただ一句、――悪い弟を持った――それからだんだん推測すると、この事件の秘密もおぼろげながら判って来るようにも思われます。向田大尉には弟がある。それがよくない人間で、どこからか大尉のところへふらりと訪ねて来た。佐山君が川べりで夕方出逢った男は、おそらく本人の大尉でなく、その弟であったろうと思われます。