Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
そんな噂のかずかずに小さい魂をおびやかされて、僕も日が暮れてからは決してそのすすき原を通り抜けたことはなかった。ところが、ある時に父の使いでどうしても隣り村まで行かなければならないことが出来した。
それがすなわち明治十四年の三月なかばのことで、その当時十三の兄貴は修行のために東京の親類へあずけられていて、家にいる者は祖母と作男二人と下女一人とで、作男はほかにいろいろの用があるから、昼間は遠方へ使いなどにやってはいられない。父は侍あがりで、身体も達者、気も強い方であったから、大抵の用事ならば自分自身でどこへでも出ていくという風であったが、そのとき半月ほど前から風邪をひいて、まだ炬燵を離れずに寝たり起きたりしていたので、僕が名代として隣り村まで使いにやられることになってしまった。その用向きはなんだか知らないが、父は僕に一封の手紙を渡して、これを田崎の小父さんのところへ届けて来いと言ったばかりであった。その頃、父は隣り村の田崎という人と共同で、開墾事業を計画していたから、それについて何か至急に打ち合わせでもしたい用件が出来たらしかったが、子供の僕は別にそれを詮議する必要もないので、ただ言い付けられたままに手紙をしっかり握って、隣り村へすたすた出て行ったのは正午を少し過ぎた頃であった。