Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
僕がいきついた頃には、もう十二三人の男や女がかの石地蔵のまわりを取り巻いて、なにかわやわやと立ち騒いでいるので、その袖の下をくぐって覗いてみると、地蔵尼は日ごろ信仰する地蔵さまの台石を枕にして、往来の方へ顔をむけて横さまに倒れていた。その顔が生きている時と同じように白く美しくみえたのが今でも僕の記憶に残っている。かの尼は死んだのではない、疲れて眠っているのではないかとも思われた。
駐在所の巡査も出張した。裁判所の役人も来た。その後の手続きはどうであったか、子供の僕にはなんにも判らなかったが、父や母の話を聞くと、地蔵尼の死体にはなんの異状もなく、唯その左のに薄い歯のあとが残っているだけであった。どうして死んだのか判らない。むろん自殺ではない。さりとて他殺ともみえない。医師の検案によると、死後五、六時間を経過しているらしいとのことであるから、尼の死は夜なかの十二時頃から一時頃までの間に起こったものであろうと想像されたが、そんな時刻になぜそこらにさまよっていたのか、その子細ももちろん判らなかった。
その夜なか頃に地蔵さまのあたりで犬の吠える声を聞いた者がある。