Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
え、おかしいじゃないか。」
お文さんは黙って笑っていた。
「え、お島さんは水沢さんにおぼしめしがあるんだろう。もう出来ているんじゃないか。」
「ほほ、まさか。」と、お文さんは笑い出した。
しかしお島さんが特別に水沢さんをもてなしていることは、家じゅうの女中たちもみな認めているらしかった。しかしここの家は非常に物堅いから、客と女中とのあいだにそんな間違いのあったためしは一度もないと、お文さんは保証するように言った。
「いくら主人が堅くっても当人同士の相対づくなら仕方がないじゃないか。」と、僕も笑って言った。
ハンカチーフを届けてやらなかったということが、よほどお島さんの御機嫌を損じたらしく、今夜に限ってお島さんは一度も僕の座敷に顔を見せなかった。十時の時計を合図に、僕はお文さんに床を敷いてもらって、これから寝衣に着換えようとしていると、表の方が急に騒がしくなって、人の駈けて行く足音が乱れてきこえた。
「火事かしら。」
「ここらに火事なんかめったにありませんが…。」と、お文さんも不思議そうに耳を引き立てていた。
「それとも大漁かな。」
「そうかも知れません。」
表はいよいよ騒がしくなったので、お文さんは降りて行った。