Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

抱え主の家でもその晩だけは商売を休んで、仏壇にお燈明や線香を供えていた。すると、花ちゃん、何時頃だったっけね。」

「もう十一時頃でしたわ。」

「むむ、その晩の十一時頃に入口の扉をそっと叩く者がある。みんなも薄気味悪がって、始めは容易に出て行く者もなかったんですが、結局、抱え主の女将が度胸を据えて……。といっても、やっぱり内心はぶるぶるもので、ともかくも扉を少しあけると、星明かりの軒下に一人の大きい男が突っ立っていたんです。顫え声でどなたですかと訊くと、その男は日本語で『静かにして下さい。』と言ったそうです。しかしそれが日本人でないことをすぐに覚ると、女将はまたぎょっとした。というのが、日本語をよく話す外国人、おそらく小鉄をゴム園見物に誘い出した外国人に相違あるまい――と思うと、人間は不思議なもので、今まで弱かった女将が急に強くなって……。いや、強くなったというよりも、憎いと口惜しいとが一度にかっと込み上げて、もう怖いのも忘れてしまったんでしょう。跣足で表へ飛び出して、いきなり相手の腕にしがみついて、気違いのようにおいおい泣き出して、咽喉が裂けそうな声で畜生、畜生と呶鳴ったそうです。