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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

もし歩けなければ、車夫に負ぶってもらうというのでしたが、わたくしは断わりました。下り坂を降りると、熊笹の一面に生いしげっている底に水の音がきこえました。山川の習いで、かなりに瀬が早いらしいと思っているうちに、五、六間もあろうかと思われる山川が眼の前にあらわれました。川の中にはところどころに大きい石が聳えている。ぐゎうぐゎうという響きを立ててむせび落ちて来る清らかな水は、そこにもここにも白い泡を噴いています。その川べりを縫って、およそ一町あまりも歩いたかと思うときに、ふと見るとひとりの小さい人間が川の中の平たい石の上に身をかがめていました。わたくしは思わず立ち停まって、あの人は何をしているのかと眺めていますと、そばにいる車夫が教えてくれました。

「あれは山女という魚を捕っているのです。」

「男の児でしょうか。」と、わたくしは小声で訊きました。

その人間の姿がどうも男か女かよく判らなかったからでございます。

「女でしょうよ。」と、車夫はまた言いました。

そういわれれば、なるほど女であるらしくも思われました。うしろ向きになっているので、その人相は判りませんけれども、長い髪の毛を藤蔓のようなものでぐるぐると巻き付けて、肩のあたりに垂れていました。