Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「では、行けと申すに行かぬつもりかツ」
「はは、申しおくれましてござりまするが、拙者は北町奉行所配下の同心、杉浦権之兵衛と申しまする端役者、役儀に免じて手前の手柄におさせ願われますれば、身の冥加にござります」
「ならば行けッ。無役なりとも天下お直参の旗本じゃ。上将軍よりのお手判お差紙でもを持参ならば格別、さもなくばたとい奉行本人が参ったとて、指一本指さるる主水之介ではない。ましてやその方ごとき不浄端役人に予が身寄りの者引き立てらるる節はないわッ。行けッ、下がれッ」
「えッ。では、それなる下郎、御前の御身寄りじゃと申さるるのでござりまするか!」
「言うが迄もない事じゃ。当屋敷の内におらば即ち躬が家臣も同然、下がれッ、行けッ」
口惜しがって地団駄踏んでいましたが、鳶の巣山初陣が自慢の大久保彦左以来、天下の大老老中とても滅多な事では指を触れることの出来ない、直参旗本の威厳が物を言うのでしたから、まことに止むをえないことでした。
「………!」
「………!」
いずれも歯を喰いしばりつつ、無言の口惜しさを残して、屋敷の外へ御用提灯が遠のいていったので、風体怪しき血まみれ男が、ぺこぺこ礼を言ってそのまま疾風のごとく闇に消えようとしたのを、