Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
じきじき、お礼ごん上に伺うが定でごぜえやすが、さすればまたおっかねえものが、あごのところへ飛んで来るかも存じませぬゆえ、ほんのお礼のしるしに、ちょっくらこれを投げこんでおきやした。お口に合わねえ品かも存じませぬが、性はたしかの生の鯛、気は心でごぜえやすから、よろしくお召し上がり下せえまし――と、このように書き認めてござります」
「ほほうそうか。贈り主は前夜のあの怪しい血まみれの男じゃな。それにしてはちと義理固すぎるようじゃが、どれどれ、鯛をもっとこちらへ。よこしてみせい」
何気なく近よせて、何気なく打ちのぞいていましたが、じろりと一瞥するや、まさにその途端です。
「はて、いぶかしい。魚が口から黒血を吐きおるぞッ」
「えッ、黒血でござりますとな※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「みい! 尾鰭も眼も生々と致して、いかさま鮮魚らしゅう見ゆるが、奇怪なことに、この通り口からどす黒い血を吐き垂らしておるわ。それに贈り主がちと気がかりじゃ。まてまて、何ぞ工夫をしてつかわそう――」
言いつつ何やら考えていましたが、のっそり立ち上がって庭先へ呼び招いたのは下僕でした。