Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.923 Zeichen · 46 Bildschirme
私は彼を愛します。其故彼が苦しみ、彼が私に対して不満なのは堪え切れないのです。然し、自分が愛して居ることを愛すものは、恋人がいかに苦しんでも、自分の心に在る愛して居ると云う確信が崩れない限り安心して居られましょう。其だからこそ、今日のように、私が先達来の不愉快を忘れるほどの愛に燃え上って、彼を抱こうとして、我を忘れて着て居たものも脱ぎすてて腕をひろげたのに、私のためにと云う自分の満足のために、泣く私を傍に置いて私がほどいた衣類の紐をしめて眠ってしまうことが出来るのです。
女性が、人間が不快や苦痛を忘れるほどの激しい愛に白熱した真実さも彼は只、肉欲に色づけて見る丈の真実さほか持たないのではありますまいか?――
再び神よ、私は彼を愛して居るのです、私は、彼を自分の終生の良人たるべき人として選択致しました。そして、今此の深い、自分の魂も食うような疑いに逢着しなければならないのは何故でございましょう。もう一歩進めて、神様私は彼の何を愛して居るのでございましょう。
私は、自分の心のうちに在るけがらわしさから、彼の童貞を守神のように尊敬致しました。軽薄な男性の浮気の中で、彼の一種の憂鬱とストイックな心持に云い知れない共鳴を感じたのでございます。