Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
ルイジアナ・サム
「いや、いい。君に会ったことと、君の思出だけで十分僕はうれしいのだ」といって別れた。ハッピイだったら握手したことだろうが、この男はただ「そうか」といっただけ。山間の渓流の水の如く淡々として別れた。
ルイジアナ・サム
Bという不思議な兵隊がいた。彼はルイジアナ生れで、その名が示す通り、フランス系の市民である。すごいガニ股で、妙に上半身を振って歩くと思ったら、カウボーイが職業だった。英語が、また、一風変っていて、ニューイングランドや英国の言葉に馴染みの深い僕には、分らぬことが度々あった。我々は「地下鉄サム」から思いついて、彼を「ルイジアナ・サム」と呼んだ。PWの一人である僕が、彼のことを「ヘイ、サム!」などと呼ぶことは、甚だ異様だが、それ程サムは、僕にとって、親しみやすい青年だったのである。
サムはアパリの収容所勤務兵として、例の事務所テントに、ほとんど毎日やって来た。一体米国の兵隊には呑気者が多く、彼も極めて呑気であり、しょっ中歌をうたっていたが、面白いことに、サムが歌うと、どの歌もみんな同じように聞えた。
サムの得意は「クレージイ・ウォア」という歌だった。