Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
御承知の通り、我国では英語が中等教育の重大科目になっていた。今度の戦争が起ってからは、英語なんぞはやめてしまえということになったが、それにしても、いわゆる中等、あるいは高等教育を受けた人は、英語の勉強をしたのである。ところがその英語教育が、これまた皆さん御承知の通りのものなんだから、時々変なことが起る。ラロの収容所で知合になったI少尉は、米兵に「お前は蛙か」と聞かれて大いに憤慨したが、後からよく考えたら「お前は旗を持っているか」と聞かれたのだと分り、自分ながら笑止に思ったそうである。つまり Have you a flag ? のユーとフラッグだけが聞きとれ、日本人に共通のRとLの混乱から、旗が蛙に聞えたのである。
ラロでの出来ごとである。ある夜、便所に行き、建物の別の入口から入ろうとすると、米兵が三、四人かたまっていた。その一人が、「おい、小父さん、ちょっとの違いで、すごい御馳走を棒にふったぜ」と声をかけたので、何かと思って僕もしゃがみこむと、非番の兵隊が集まって「戦争の終ったのを祝って」一杯やった所だという。まだ残っているはずだから、小父さんにも飲ませなよ――このごろ〔昭和二十一年〕英語の勉強がすごく流行しているが、これを兵隊英語に訳して御覧なさい、なかなかむずかしいから――と、そこら辺りをゴソゴソさがし