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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

それに――」

「それに?」

「昌平橋の南詰には、番所があります。私はそれへ駆け込む気だったかもわかりません」

咄嗟の間に動く娘の心理は、銭形平次の叡智にも及ばないものがあるのでしょう。

「親分、お隣りへ行って来ましたがね」

八五郎は何にか平次に言いたいことがある様子で、あたりを見まわしたり、鼻の穴をふくらませたりしております。

「何んだ、其処で言ってみな」

平次はたいして警戒する様子もなく八五郎を促します。隣りの部屋には姪のお栄も番頭の宇八も聴いて居る筈ですが、どうせ御近所の衆が岡っ引に話すことくらいは、本人達の耳に入れてもたいして不都合はあるまいと思って居るのでしょう。

「お栄が隣りへ行った時刻と、帰った時刻は、本人が言った通りですよ。夕食の後片付けが済んだ時行って、ツイ先刻亥刻(十時)の鐘が鳴ると、――おやもうそんな時刻か知ら、伯父さんに叱られるといけないから――と大急ぎで帰ったそうです」

「あの娘の近所の評判はどうだ」

「悪くありませんよ。開けっ放しで、きりょう良しで、気が大きいから」

「主人は?」

「近江屋半兵衛は金貸しのくせに大気で、近所附合いもよく、町内の寄付寄進諸掛りにも、糸目をつけない方で――」