Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
――で、ぶらりと訪ねて来たのは、その時から十何年一足飛びに、二度目の会見なのだった。
いろんな話の末にまた、私が、
印のことは、貴方ならよく分るだろう。他のことは何もお願いしないが、この画の印章だけを、鑑てくれませんか。
祖師像を展げてみせると、M翁は、老眼鏡をかけ、顔を画にくっつけて見入っていたが、
――これは、素人の彫った篆刻じゃろな。上の「沙門東寔」の印も、下の「宮本二天之印」も、どっちも素人というと中らぬが、まあ刻刀などは持ち馴れぬ人が、手すさびに彫ったという所が当ったところじゃろな。
というて、決して偽印じゃないな。偽印というものは、巧くとも拙くとも、そこに邪い意志があるでな。すぐわかるもので、これは稚拙というても、そういう拙さではないですな。
いったい、昔の坊さんなど、よう自分で彫ったものでな。多くは木材じゃが、これなども、二つとも、木らしいな。
こういう篆書体の字劃も、寛永や元和頃なら、もう日本へ篆書の本が渡っているので、あってふしぎはないな。朱肉の色は、上の印と、下のと少し違っているのう。べつな日に書いたのかなあ。画が先じゃな。賛は後から乞うたのじゃろ。