Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
こうして、数年、彼の独慎と、瞑想がつづいた。徐々に、彼は死期のちかづきを、悟っていた。ところが、その頃、
――世間、奇怪の説あり
と、一書に見える。つまり、霊巌洞中の彼のすがたや、山里の家から見える山中の燈火に、百姓たちが、いろいろ怪しんだものだろう。風説は、城下にも高かったらしい。そこで、藩老の長岡監物が、鷹狩に事よせて、武蔵の起居を、ここへ訪ねに来たりしている。おそらくは、世間の誤解もあるし、武蔵の老体を案じて、千葉城の宅へ戻るように、諫めたものとおもわれる。
だが、武蔵は、ついに、ここの洞中で、座禅したまま死んだのである――とは、ここの岩殿寺で云い伝えていることである。もっとも、家僕として、増田総兵衛、岡部九郎右衛門の二人が、朝暮に、何かの世話はしていたらしく、すぐ二人が、武蔵を、熊本の私邸まで、背負って帰った――そして数日の後に、息をひきとったので、岩殿山では、まだ絶命はしていなかった――ともいうのである。
後者の説の方が、前後からみて、どうも真実らしい。
いずれにせよ、彼の五輪書は、こういう環境と、彼のこういう心態のもとに、書かれた。