Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
ヘタをするとぼくの小説自体も渦潮へ溺れ去るあぶなさがないとはいえない。
山屋の裏に今年は板の間の書斎を建て増した。夏休み中の子供もみんな大きくなってしまい、その子供らの友人も大きくなり、どうかすると、机の置き場所もなくなってしまうのだった。そこでぼくは夏中はたいがい朝は五時半か六時に机に坐る。裏の雑木林いちめんに小鳥が啼きぬく。高原オーケストラの中で原稿に向かう。ほんとにぜいたくなことですまないと思われたりする。
三笠宮さまも毎年借家のようではあったが、ことしは三笠山の中腹に三、四十坪の学究の書屋らしい建物を作られた。そこへ一日、パーティーのお招きをうけた。大学の先生方と夫人たちがあらましのお客であった。宮さまには、粒ぞろいお小さい五人の和子がおありである。お妃は台所やらパーティー客の接待にお忙しい。その間を、いたずら盛りの和子たちが喜々と飛び跳ねていらっしゃる。高原の明るさの中にある簡素な学究の一家庭と見ていれば、この附近にも珍しくないが、しかしこれを長い歴史の末の皇室の一図片と眺め直すと、いいしれない感慨がわいてくる。こういう今日を、ぼくは、ぼくの作品の中の阿部麻鳥に見せたいと思った。