Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
歳寒雑記
まだこれしか書けなかったかと、月日の短さよりも、遅々たる筆に、長の旅路を脚に感じる。
武蔵のばあいでも、太閤記のばあいでも、長篇では、その期間の途中、半年ぐらい休ませてもらい、時をあらためて、また書き続けたものだった。しかしこんどは、いったん筆を措いたら、もう書けない気がするのである。体力の問題ではなく、いまの自分の体じゅうに持っている細胞が、「新・平家」の構想や史料やそれのすべての細胞と密着しきっているからである。休養期を入れて、ある期間、これをいちど断ち切ってしまうと、ふたたび細胞と細胞とが完全にむすびつくという自信が持てないのだ。それとまた生活もである。何から何まで、このように、一つの創作に賭けてしまったことは、自分の貧しい作家生活三十年のあいだにもないことだった。こんどの「新・平家」の完成へのみ、自分はあえて自分の運命をそうしてしまった。(昭和二十七年 晩秋 軽井沢にて)
歳寒雑記
この第九巻「御産の巻」は、ごさんの巻と読んでいただきたい。現代読みでは当然、おさんの巻と読むであろうが、古典平家の原語をそのまま巻題としたので、「ごさん」でないと、やはりなんとなく余情余韻がない。