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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme

Aozora Bunko

屋島寺から壇ノ浦の巻

この山中の陵守小屋に起居して、この人たちは、この色もない香も淡い渋茶をのみながら何を生きがいとしているのだろうか。「淋しくありませんか」と問えば、「べつに……」とただ笑っている。笑いの消えたあとも決して空虚にはなっていない。阿部麻鳥みたいな感傷があるわけでもないらしい。生きていることそれ自体を楽しんでいる生命に見える。彼らにもし西行の知性があったら、かえって都会人のぼくらを愍れんでいたかもしれない。しかし、どう嗤われても、なにしろ一時間とは長居も出来ない冬風の峯であった。(二六・七・一)

屋島寺から壇ノ浦の巻

白峯紀行の西行法師のほかに、時代は江戸に下るが、「雨月物語」の筆者の上田秋成も、こんぴら詣りか、四国巡りの旅すがら、この白峯へ登ったことがあるように思われる。

秋成の「雨月物語」は、ぼくの少年時の愛読書の一つだが、あの中でも「蛇性の婬」「菊花の約」「白峯」の三篇がわけてすぐれている。

こんどの旅行後、もう一度あの「白峯」を読んでみると、実地に白峯を踏んでいなければ書けない描写が随所にある。おそらく秋成は西行と同じように、白峯へのぼり、崇徳院の御陵をとむろうて、保元、平治のむかしを松風に偲び、そしてあの好短篇を落想したのではあるまいか。