Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
義仲の洛中突入を見ながら、鎌倉の頼朝が、二年余も、うごかずにいたのは、賢明である。それ一つでも、頼朝は天性の政治家であったといえよう。彼がうごかなかった理由は、凶作の年に兵馬を用いて、飢民のうらみを買う愚をさけたのでもあろうが、役割の悪い破壊の先駆は、義仲にさせておけ、という大きな肚でもあったにちがいない。(二八・一一・一)
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一門都落ちは、有史以来の出来事であった。ぼくら現代人は、より以上な国家変革さえ眼に見て来たが、平家時代ころの人々には、一夜のうちに首都がきのうの首都でなく、権力者の府がそっくり他と入れ替るというような現象を見たのは初めてだったにちがいない。そして昭和の民衆と同様に、当時の庶民も、その迅速さには、ただもう、あっ気にとられたことだろうと思われる。
“槿花一朝の夢”といえば、わずか六字でもことはすむが、如実に再現しようとか分かろうとしてゆくと、きのうの経験さえも容易でない。まして歴史限界のなかでは、片鱗でも描き出せれば凡筆の僥倖だと思っている。平家西走の二十四日から二十五日朝までの、わずか一夜だけでも、一個一個の人間が舐めた思いを想像すると、余りにもその様相は大きすぎて、実相の把握も困難であり、身にすぎた素材と取っ組んで、型のごとき都落ちを型のごとき物語に書いてしまった気