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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

そうしているうちに、明るい真昼には男の顔が見えなくなって、彼らの美しい顔は夜でなければ水の上に浮かばないようになった。夜ならば月夜はもちろん、闇の夜でも男の顔ははっきりと見えて、宵のうちよりも真夜中の方が一層あざやかに浮き出していた。

おそよがこのごろ夜ふけに寝床を抜け出してゆく子細はそれで判ったが、妹のおつぎにはまだ十分に信じられなかったので、かれは姉にたのんで一緒に連れて行ってもらうことになった。古井戸の水の上には果して二つの白い顔が映っていて、いずれも絵にかいたお公家さまのような、ここらではかつて見たこともない優美な若い男たちであったので、おつぎも暫くは夢のような心持で、その顔を見つめていた。そうして、姉が毎晩かかさずにここへ忍んで来るのも、なるほど無理はないとうなずかれた。

井戸の水に映る顔は二つで、今までは姉ひとりがそれを眺めていたのであるが、その後は二つの顔に向いあう女の顔も二つになつた。姉妹は毎夜誘いあわせて、その井戸端へ通いつづけていたのである。勿論、その顔を覗くだけのことで、ほかにはどうにも仕様がないのであるが、かの猿猴が水の月をすくうとおなじように、この姉妹も水にうつる二つの美しい顔をすくい上げたいような心持で、夜のふけるのを待ちかねて毎晩毎晩忍んで行った。