Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
三
しかし二度はならない。一生に一度ぎりだぞと、くれぐれも念を押して言い残されたことがある。おれはそれを思い出したので、半分は夢中で股引をぬいで、おやじの名を呼んで呪文を唱えながら、それをまっ二つに引裂くと、不思議に相手もまっ二つに裂けて死んだ。どういう料簡で、おれが股引を引裂いたのか、自分にもわからない。たぶん死んだ親父がそうしろと教えてくれたのだろう。家へ帰ってその話をすると、おふくろは喜びもし嘆きもした。一生に一度という約束を果してしまったから、お父さんも二度とおまえを救っては下さるまい。これからはそのつもりで用心しろと言った。その当座はそれほどにも思わなかったが、このごろはそれが思い出されて、なんだか馬鹿に気が弱くなってならない。なに、おれ一人ならばどうにでもなるが、お前のことを考えると、うかうかしてはいられない。」
何につけても自分を思ってくれる夫の親切を、お年は身にしみて嬉しく感じた。
三
ふたりが同棲してから四度目の夏が来た。ことしは隣り村に大きいうわばみが出て、田畑をあらし廻るので、男も女もみな恐れをなして、野良仕事に出る者もなくなった。