Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「あの女中は何か自分にしくじりがあって、急に暇を出されるような事になったので、そのごまかしにいい加減なでたらめを言うのだ。嘘ももう少しほんとうらしいことを考えればいいのに……。やっぱり年が若いからな。」

父は頭から問題にもしないので、話もまずそれぎりになってしまいました。

成程そういえばそんな事がないとも言われません。自分に落度があって暇を出されても、主人の方が悪いように言い触らすのは奉公人の習いですから、飯田の御新造のコレラ話もどこまでが本当だかわからない。こう思うと、わたくし共もそれについてあまり深く考えないようになりました。

二

それから三日目の夕方に、わたくしはお富を連れて新宿の大通りまで買物に出ました。夕方といってもまだ明るい時分で、暑い日の暮れるのを鳴き惜しむような蝉の声が、そこらで忙しそうに聞えていました。

横町をもう五、六間で出ぬけようとする時に、むこうから二人づれの女がはいって来ました。お富が小声で注意するように、お嬢さんと呼びますので、わたくしも気がついてよく見ますと、それはかの飯田の御新造と女中のお仲です。

近所に住んでいながら、特別に親しく附合いもしておりませんので、わたくし共はただ無言で会釈してすれ違いましたが、お仲という女中はいかにも沈み切った、今にも泣き出しそうな顔をして主人