Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

なんだか怖いような晩だと思いながら、わたくしは寝床へはいっていつかうとうとと眠りますと、やがて父と母との話し声で眼がさめました。

「井田さんはどうかしたんでしょうか。」と、母が不安らしく言いますと、「なんだかうなっているようだな。」と、父も不審そうに言っています。

それを聴いて、わたくしはまたにわかに怖くなりました。夜がふけて、雨や風や浪の音はいよいよ高くきこえます。

「ともかくも行ってみよう。」

父は枕もとの手燭をとぼして、縁側へ出ました。母も床の上に起き直って様子をうかがっているようです。離れといっても、すぐそこの庭先にあるので、父は傘もささないで出て行って、離れへはいって何か井田さんと話しているようでしたが、雨風の音に消されてよくも聞えませんでした。そのうちに父は帰って来て、笑いながら母に話していました。

「井田さんも若いな。何かあの座敷に化物が出たというのだ。冗談じゃあない。」

「まあ、どうしたんでしょう。」

母は半信半疑のように考えていると、父はまた笑いました。

「若いといっても、もう二十二だ。子供じゃあない。つまらないことを言って、夜なかに人騒がせをしちゃあ困るよ。