Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

」

そうは言っても、父は相変らず離れの四畳半に机をひかえて、好きな俳諧に日を送っているうちに、お弟子もだんだんに出来ました。どうにかこうにか一人前の宗匠株になりましたのでございます。

それから三年ほどは無事に済みまして、明治十年、御承知の西南戦争のあった年でございます。その時に父は四十一、わたくしは十七になっておりましたが、その年の三月末に孝平という男がぶらりと尋ねてまいりました。以前は吉原の幇間であったのですが、師匠に破門されて廓にもいられず、今では下谷で小さい骨董屋のようなことを始め、傍らには昔なじみのお客のところを廻って野幇間の真似もしているという男で、父とは以前から知っているのです。それが久振りで顔を出しまして、実はこんなものが手に入りましたからお目にかけたいと存じて持参しましたという。いや、お前も知っている通り、わたしは商売をやめるときに代々持ち伝えていた書画骨董類もみんな手放してしまったくらいだから、どんな掘出し物だか知らないが、わたしのところへ持って来ても駄目だよ、と父は一旦断りましたが、まあともかくも品物をみてくれ、あなたの気に入らなかったらどこへか世話をしてくれと、孝平は臆面なしに頼みながら、風呂敷をあけてもったいらしく取出したのは、一つの古びた面箱でした。