Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
二
「一、忘恩の罪。二、無断退去の罪。三、河北の使いとひそかに密書を交わせる罪――」
「いやいや、関羽は初めから予に、三ヵ条の約束を求めておる。それを約しながら強いて履行を避けたのは、かくいう曹操であって、彼ではない」
「でも今――みすみす彼が河北へ走るのを見のがしては、後日の大患、虎を野へ放つも同様ではありませぬか」
「さりとて、追討ちかけて、彼を殺せば、天下の人みな曹操の不信を鳴らすであろう。――如かず! 如かず! 人おのおのその主ありだ。このうえは彼の心のおもむくまま故主のもとへ帰らせてやろう……。追うな、追うな。追討ちかけてはならんぞ」
最後のことばは、曹操が曹操自身へ戒めているように聞えた。彼のひとみは、そういうあいだも、北面したままじっと北の空を見つめていた。
二
ついに関羽は去った!
自分をすてて玄徳のもとへ帰った!
辛いかな大丈夫の恋。――恋ならぬ男と男との義恋。
「……ああ、生涯もう二度と、ああいう真の義士と語れないかもしれない」
憎悪。そんなものは今、曹操の胸には、みじんもなかった。
来るも明白、去ることも明白な関羽のきれいな行動にたいして、そんな小人の怒りは抱こうとしても抱けなかったのである。