Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
雪に埋もれた土の窓から、土民の女房が眼をまろくして一行をながめていた。また貧しい煙の這う壁の奥から嬰児の声が道へ聞えてくる。
こういう寒村の窮民を見ると、玄徳は、自分の故郷県の田舎と、その頃の貧乏生活を思い出す……。同時に、この地上に満ち満ちている幾億の貧乏人の宿命を思いやらずにいられない。
彼はそこに、自分の志に大きな意義と信念を見出すのであった。きょうばかりではない。二十年来のことである。
壮士の高名、尚いまだ成らず
ああ久しく、陽春に遇わず
君見ずや
東海の老叟荊榛を辞す
石橋の壮士誰かよく伸びん
広施三百六十釣
風雅遂に文王と親し
八百の諸侯、期せずして会す
黄龍舟を負うて孟津を渉る……
何処だろう?
何者が歌うのであろう?
凛々、心腸をしぼるばかり、高唱してやまない者がある。
「はて。あの声は」
玄徳は思わず駒をとめた。
道の雪、降る雪、そこらの屋根の雪が、白毫の旋風となって眼をさえぎる。――ふと、かたわらを見ると、傾いた土の家の門に、一詩を書いた聯と、居酒屋のしるしの小旗が立っていた。
歌う声は、その中から聞えてくるのだった。さびのある声調と、血のかよっている意気が聞きとれる。