Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
いま、先生は経世の奇才、救民の天質を備えながら、深く身をかくし、若年におわしながら、早くも山林に隠操をお求めになるなどとは――失礼ながら、忠孝の道に背きましょう。玄徳は惜しまずにいられません」
「それは、どういうわけですか」
「国みだれ、民安からぬ日は、孔子でさえも民衆の中に立ちまじり、諸国を教化して歩いたではありませんか。今日は、孔子の時代よりも、もっと痛切な国患の秋です。ひとり廬にこもって、一身の安きを計っていていいでしょうか。――なるほど、こんな時代に、世の中へ出てゆけば、たちまち、俗衆と同視せられ、毀誉褒貶の口の端にかかって、身も名も汚されることは知れきっていますが――それをしも、忍んでするのが、真に国事に尽すということではありませんか。忠義も孝道も、山林幽谷のものではありますまい。――先生、どうか胸をひらいて、ご本心を語ってください」
再拝、慇懃、態度は礼をきわめているが、玄徳の眼には、相手へつめ寄るような情熱と、吐いて怯まない信念の語気とをもっていた。
「…………」
孔明は、細くふさいでいた睫毛を、こころもち開いて、静かな眸で、その人の容子を、ながめていた。