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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志

吉川 英治

Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

その晩、みな寝しずまってから、一つの事件が起った。

五、六人の悪党が忍びこんで、厩の赤兎馬を盗みだそうとしたところ、悍気のつよい馬なので、なかの一人が跳ねとばされたらしく、その物音に、みな眼をさまして大騒ぎとなったのだった。

しかも、孫乾や、車の扈従たちが包囲して捕まえてみると、その中のひとりは宵にちらと見たこの家ののら息子だった。数珠つなぎに縛りあげて、

「斬ってしまえ」

と、孫乾が息まいているとき、主の郭常は、関羽のところに慟哭しながら転げこんできた。

「お慈悲です。あんな出来損いではございますが、てまえの老妻には、あれがいなくては、生きがいもないくらい、可愛がっている奴でございます。どうぞお慈悲をもって、あれの一命だけは」

と、十ぺんも莚へ額をすりつけて詫びた。

関羽の一言で、泥棒たちは、放された。

郭常夫婦はわが子の恩人と、あくる朝も、首をならべて百拝した。

「こんな良い親をもちながら、勿体ないことを知らぬ息子だ。これへ呼んでくるがいい、置き土産にそれがしが訓戒を加えてやろう」

関羽のことばに、老夫婦はよろこんで連れに行ったが、のら息子は、家の中にいなかった。