Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
二
彼は、鎌倉の遠矢幸造に宛てゝ、電報で、「今週差支えあり、来週から始める」と断りを言い、すぐその足で小諸に向つた。
汽車の中で、彼は考えた――第一に、小萩は、なにゆえに、彼の再三の意志表示に、露ほどもこたえようとしないのか? なるほど、百瀬しのぶを通じて、いくたびか遠慮がちな言伝をしてよこしたことはある。しかし、あれだけ心をぶちまけた手紙に目を通したうえ、この前療養所をわざわざ見舞つたことを看護婦からおそらく聞いていない筈はないとすると、その後、看護婦に代筆をさせるなり、百瀬しのぶへの便りのついでなりに、なんとか、自分に挨拶の一言ぐらいあつてよさそうに思う。おそらく、あれほど看護婦に頼んでおいたことも、小萩にかたく止められて、それが果たせないのであろう。ともかく、どんな手段にせよ、彼女は一切、自分に消息を伝える意志はないとみるべきである。それは、いつたい、どういう意味なのか? 彼女は、なにかを、たゞ、おそれているのである。つまり、自分という人間との交渉を、できるだけ露わなかたちにしたくないと警戒ばかりしているのである。それは、彼女が、世俗的な習慣に縛られて、夫ある身というような、つまらぬ気兼ね、遠慮が先に立つているからに過ぎぬのではないか? それとも、彼女は、貞節な妻というほこりを後生大事にして、あらゆる