Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
はるかなる青春
一
それだけでもおれは、あいつのために乾盃するよ。お前も同感だろう、ひとつ、美佐の後援会を作つてやろうよ。いや、真面目な話、おれたちにできることは、たゞ、そういうところへ落ちこんで、悪戦苦闘しているあいつをだよ、必要以上に不仕合せにさせないこつた。少しでも勇気をつけてやるこつた。わかるだろう。親同胞なんて、せいぜいそんなもんさ。それができなきゃ、なんになるもんか……」
彼は、きつぱり、言いきると、妹多津の深々とした瞳に、精いつぱいあたゝかい視線を送つた。
はるかなる青春
一
それから、もうかれこれ三月たつ。久々で迎える東京の春であつた。
ケヤキの梢が煙るように色づき、庭の隅のレンギョウは水々しい黄いろの花をつけ、若い娘たちの軽やかな粧いが目立つて来ると、微風に誘われるように、京野等志も、じつと家のなかに落ちついてはいられなかつた。
あちこちへ頼んである就職口もなかなかラチがあかぬので、思いきつて肉体労働でもしようかと思つている。父は、まあ、そう急ぐなと言い、たゞなにかしたいというだけなら、自分の関係している製粉会社へ入れてもよいのだからと水を向けるのだが、彼は、それだけは真平であつた。