Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
三
「僕は、野菜があればなんにもいらないんだ」
「もつて来いじやないの、お百姓の畑から、とりたてのお野菜を、いつだつて貰つて来れるわ」
「戦争中と違つてね」
「まつたく……。おトウナス一つをおろしたての博多帯一本で買わされるなんて、どうかしてたわ」
話がますます散文的になるのは、もう、二人の間に、月並な世帯という観念が侵入してしまつたからであろう。
そこへ、夕食の膳が運ばれた。
三
その夜、二人は、なんのこだわりもなく、二つ並べた床へ、それぞれ、もぐり込んだ。小萩は、外泊の許可を得て来たというので、京野等志はちよつと面くらつたが、それも、堂々としていて、変に思わせぶりをするよりも、却つて、頼もしいように考えられた。
「明り、消してもよろしい?」
「あゝ、どうぞ……」
しかし、外の雪明りが、まだ、ところどころ雨戸の隙間から漏れて、ほんのりとすゝけた障子に映つていた。
「疲れた?」
京野等志は、しばらく、眼をつぶつていたが、気になつて、そうたずねた。
「いゝえ……」
かすかな、絶えいるような返事であつた。
「こんな風にして、眠れる自信ある、あなたは?」
と、彼は、更に、声をかけた。