Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
はつきりと敵意を示すものこそないが、ひそかに、眉をひそめるような気配は、ことごとに感じられた。
それなら、この一人の父とは、家族たちにとつて完全に、無用有害な存在なのだろうか。そうともいいきれぬ何かゞ、まだ残つている。単なる利害関係か、あるいは、習慣のようなものか? 時によると、この父は、四面楚歌の声につゝまれる。それにも拘わらず、時によると、かれは、「一番大事なひと」としての成光を保つているのである。
その証拠に、父は相変らず、一等贅沢な部屋を占領し、一番最初の風呂にはいり、だれよりも多くひと手を煩わし、すこしこみいつた問題になると、必ず最後の断をくだすのである。
そういう父にとつて、最も悲惨な運命がついに訪れた。
その年もおしつまつたある日のことである。みぞれまじりの雨が朝から降りだしていた。妹の真喜は早くから学校へ、父は銀行に用があるといつて九時すぎに家を出たのだが、すぐそのあとへ、乳呑児をねんねこで背負つた女が、しばらく門前をうろうろしたあげく、ためらうように玄関の呼鈴を押した。中年と呼ぶにはまだ若すぎる横顔の美しい女であつた。
取次ぎに出た母に、