Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
「へえ、わるい趣味だ、手近なものを利用するのは」
と、彼は、ひとごとのように言つた。
「いゝじやないの、それがそんなに、ざらにあるもんでさえなけれや……」
「光栄です。たゞ、そつちが、ざらにないかどうかの問題さ」
と、彼は、つい、たまりかねて、言い放つた。
「あら、そこまでは気がつかなかつた。ごめんなさい」
平山いくは、さすがに、気まずさを呑みくだすように、はしやぎながら、言つた。
「今のは、戯談……」
と、京野等志は、余計な憎まれ口を取消そうとした。
「今のは、まつたく戯談だけれど、僕は、あなたのような女性と、しやれたおつきあいはできない男なんだ。浮気というような言葉でさえ、僕には、ほんとの意味がわからないんだからな。ほんとの意味つていうか、むしろ、微妙な意味がね。それで、浮気の相手になれますか、いつたい……」
「そんなこと、なんでもないじやないの。男と女とがいてさ、ふつと、どつちかの出来心で、なんとなく、そうなつたら、それでいゝんだわ」
「なんのことか、さつぱりわからない」
と、京野等志は、しらばくれてみせる。が、このへんから、彼の気持は、ぐらつきはじめた。