Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
おれは、すぐにぴんと来たから、ちよつと待て、そいつの兄貴は外語でおれと同級なんだが、応召したきりまだ帰つて来ないらしいつていうとね、バカ言え、もう三月も前に帰つてるはずだ、その京野つていう学生からたしかに聞いた、とこうなんだ。そう言えば、おれがこの家へ君の消息を訊きに来たのは、去年の夏だよ。その時分は、まだ居所もきまらず、それつきりになつてたんだ」
「へえ、おれの方は、おれの方で、ずいぶん探したよ。帰つているかいないか、以前の会社へ聞けばわかると思つて、電話をかけてみたんだが、いつこう要領を得ないのさ。そうそう、あの中野の下宿さ、あの焼跡の前で、しばらく君のことを考えたよ。復員して東京へ着いた晩だよ。新宿から家まで歩いた、その途中だからさ」
「満洲で君の部隊が牡丹江にいることがわかつたから、一度端書出したんだが、見てないだろうな」
「いや、それは、たしかに見た。返事はすぐ出したぜ」
「受取らん。もつとも、あれからすぐ、広東へ廻され、着いたとたんに、内地へ帰れだろう。どうするのかと思つたら、九十九里浜の防備さ。終戦と同時に復員はよかつたんだが、おれは、君のことが気がかりでしようがなかつた。