Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
〔欠題〕
一
〔欠題〕
一
意外な場所で意外な人物に会つた京野等志は、なるべく話題を変えようとするのだけれども、相手の長久保宇治なる男は、むしろいゝところで彼にめぐり合つたといわぬばかりに相好をくずし、是非今夜でも明日でも家へ寄つてくれと頼むのであつた。
この招待に応ずることは、つまり、小萩に会うことだと思うと、彼の決心は容易につきかねた。で、いゝ加減に言葉をにごして、その晩は別れるには別れたが、あとで、彼は百瀬秀人にすこし立ちいつて長久保家の事情などを訊ねてみた。
「あの宇治という男は、面白い、風変りな男でなあ。今年三十七になるだが、女房以外の女には眼をくれんという律義者だ」
「それだけなら、別に風変りでもなんでもないじやないか」
「うん、それがさ、たゞそうならいゝんだが、田舎じやおかしいくらい女房を大事にする男でさ。それも東京の娘ッ子を、しかも、頭のでけとる別嬪をもらつたつていうんで、大自慢なんだ。実際、自慢されても仕方がないくらいの代物じやあるよ、お前も知つての通り……。だが、人の手前つてこともあるしな、ちつと、そばで見ていて、業の煮えるところもないじやないよ」