Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
いゝだろう? たしか、家号みたいなものがあるんだろう……」
そう、彼が、急きこむように言つているところへ、襖がさつと開いて、見違えるような、しかし、たしかにそれに違いない、芸者姿の妹、美佐が、静かに手をついて、こつちを見あげていた。
「美佐、わかつたか、おれだ。まずいことをしたが、ゆるしてくれ。まあ、来た以上は、ゆつくり話そう。南条に聞いたんだ。どこかほかで会うようにすればよかつたが、つい思いつかなかつた。達者は達者かい?」
立てつゞけに、彼はしやべつた。
「お帰りなさい……ご無事で、なによりだつたわ……。あたしのこと、家ですぐお聞きになつたのね」
「聞いたさ。どういう風にしてるのか、実は早く知りたかつた。手紙だけ出したが、見てるだろうな」
「えゝ、拝見したわ。でも、誰にも、その頃、会いたくなかつたの。兄さんには、ことに、顔みられたくなかつた」
「どうしてだい? やつぱり、周囲がわるいんだなあ。あの手紙にも書いたとおり、おれは、そんなこと、なんとも思つてやしない。たゞ、勇気と忍耐がいるなと、同情してただけだよ。肩身の狭い思いをしてやしないか、それだけが心配だつたけど……」