Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
うしろには床の間があり、前には小さい経机、花台、綿のふくれた座ぶとんなどが並べてある。右手の障子で柔らげられた光線を軽く半面にうけながら、彼女は神々しいほどに優しい「たましいのほほえみ」を浮かべていた。それはもう「彫刻」でも「推古仏」でもなかった。ただわれわれの心からな跪拝に価する――そうしてまたその跪拝に生き生きと答えてくれる――一つの生きた、貴い、力強い、慈愛そのものの姿であった。われわれはしみじみとした個人的な親しみを感じながら、透明な愛着のこころでその顔を見まもった。
どうぞおそば近くへ、と婉曲に尼君は、「古美術研究者」の「研究」を許した。われわれはそれを機会に奥の六畳へはいって、「おそば近く」いざり寄ったが、しかしその心持ちは、尼君が親切に推測してくれたような研究のこころもちではなくて、全く文字通りに「おそば」に近づくよろこびであった。
あの肌の黒いつやは実に不思議である。この像が木でありながら銅と同じような強い感じを持っているのはあのつやのせいだと思われる。またこのつやが、微妙な肉づけ、微細な面の凹凸を実に鋭敏に生かしている。そのために顔の表情なども細やかに柔らかに現われてくる。