Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
八
この放逐せられた偶像を自分の手に引き取ろうとする篤志家は、その界隈にはなかった。そこで幾日も幾日も、この気高い観音は、埃にまみれて雑草のなかに横たわっていた。ある日偶然に、聖林寺という小さい真宗寺の住職がそこを通りかかって、これはもったいない、誰も拾い手がないのなら拙僧がお守をいたそう、と言って自分の寺へ運んで行った、というのである。
八
数多き観音像、観音崇拝――写実――百済観音
推古天平室に佇立したわたくしは、今さら、観音像の多いのに驚いた。
聖林寺観音の左右には大安寺の不空羂索観音や楊柳観音が立っている。それと背中合わせにわが百済観音が、縹渺たる雰囲気を漂わしてたたずむ。これは虚空蔵と呼ぶのが正しいのかも知れぬが、伝に従ってわれわれは観音として感ずる。その右に立っている法輪寺虚空蔵は、百済観音と同じく左手に澡瓶を把り、右の肱を曲げ、掌を上に向けて開いている。これも観音の範疇に入りそうである。さらに百済観音の左には、薬師寺(?)の、破損はひどいが稀有に美しい木彫の観音があって、ヴィナスの艶美にも似た印象をわれわれに与える。その後方には法隆寺の小さい観音が立っている。