Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
二
従ってこの画の色調はアジャンター壁画の本来の色調を示しているといってよい。
ペルシア使臣の画で特に目についたのは、ペルシア人の右肩にいる女の顔の誘惑的な表情であった。これはギリシア風の美術に認められないインド独特の女の美しさで、インド人が女をいかに恐れ、いかに愛していたかを、最も代表的に示していると思う。これは中世のウェヌスベルグの伝説に現われて来るのと同じ心持ちで、ギリシア人は全然それを知らなかった。この心持ちを最初アレキサンドリアあたりへ輸入したのは、あるいはインドからであったかも知れない。肉に酔うか、魂を救うか、この選択の前に立って身を慄わせている男の目にうつる女の美しさは、まさにあれである。この画はそういう美しさを写実的に、しかし最も典型的に描き出している。
けれどもこれは宗教画ではない。もし禁欲僧が日夜この画に親しまなくてはならなかったとしたら、この画は苦行の座の針にもひとしいものであったろう。それは美しいが、しかし恐ろしい、それほど蠱惑的である。(五月十六日)
二
哀愁のこころ――南禅寺の夜
久しぶりに帰省して親兄弟の中で一夜を過ごしたが、今朝別れて汽車の中にいるとなんとなく哀愁に胸を閉ざされ、窓外のしめやかな五月雨がしみじみと心にしみ込んで来た。